2015年8月29日(土)

3.イノベーションと企業家精神について⑥~イノベーションⅤ~

ここで、組織におけるイノベーションについて、改めて総じて考えてみたいと思います。

イノベーションとは、「外的変化を受けて、自らも変化すること」、「自らが変化を起こし、外部に変化をもたらすもの」であると思います。

そして、なんのために変化するのか?というと、発展・繁栄するためであるのです。

その方法論としては、考え方として大きく2つあると思います。

先ず、一つは、P・F・ドラッカー的に、「体系的廃棄」をすることであります。
昨日までの考え方、やり方を捨て去り、廃棄し、全く新しいやり方、方法、製品、考え方を取り入れていくのであります。

いま一つは、J・A・シュンペーター的に「異質なものの結合」であります。
今まで、考えもつかなかったもの同士を組み合わせ、全く違ったものを生み出すのであります。新たに化学変化を起こすのであります。

ここで、補足的に言うと、イノベーションとは、新しい製品を発明するとか、そういうものばかりではないということであります。
それは、新たな販売経路の発見や、製造工程の変化、考え方の変化、手順の変更など、ありとあらゆる分野、事象にイノベーションということが可能であるということであり、むしろ、そっちの方が、あらたな製品の発明などよりも、イノベーションの機会としては大きいものであると思います。

「異質なるものの結合」にしてみても、化学物質同士の結合のみならず、例えば、今までは、カメラのフィルム会社であったのが、そのミクロの技術を生かして、化粧品分野に進出するなど(カメラフィルムのミクロ技術と、化粧品分野の新結合)〈富士フィルム〉、「技術」と、「新たな分野」との結合なども考えられます。
結合とは、経営資源同士の組み合わせとも言えます。例えば、営業で優秀な成績を上げた人を、開発部門に異動させ、現場の生の声を商品開発に取り入れたり、現場経験の長い人を、本部の管理部門に異動させ、より組織全体として、一貫したマネジメントができるようにしていくことも、新結合であると言えます(人+新たな分野の部署)。
それは、経営資源全体(人、物、金、情報)についても言えます。

このように、イノベーションとは、平たく言うと、新しいことを始めることであるとも言えます。
そのためには、そのイノベーションを起こすための利益・資金と、イノベーションを喚起するための「知識をインプットし続けること」が必要になるのであります。
「新たな知識」とは、自らの思考の中に変革を起こすのであるからであります!
そして、イノベーションとは「新たな知識を得た後」、先ず、自らの思考の中に変革、考え方の変化、新たなアイディアを起こすことから始まるのであります!

Faust