2015年6月9日(火)

2.目標を立てる~「夢」、「志」、「使命」、「基本理念」の次に来るべきもの①~

夢、志、使命すなわち組織の基本理念を設定した後、次は何をするべきか?
その基本理念を、お題目で終わらせるのではなく、具体的な行動、具体的な成果に結びつけていくために必要なこと。
それは、「目標の設定」であります。

実は、ここが非常に大切な部分であり、この目標設定を間違ってしまうと、組織を間違った方向に走らせたり、基本理念を達成することではなく、ただ目標の数字を追いかけることが組織の至上命題と化してしまう恐れがあるのです。

先ず、考えるべきは、我々の目指すべきものは何か?ということではないかと思うのです。例えば、ある喫茶店を考えてみますと、その喫茶店の基本理念は、
「お客様に、第二の家のようにくつろいでもらい、おいしいコーヒーを飲んで、明日への活力を取り戻してもらう」だとします。
次に、目標としては、「業界で、ナンバーワンになる」や、「顧客満足度で地域ナンバーワンになる」、「従業員満足度でトップになる」などが考えられます。
ここで、間違ってはならないのは、目標を例えば、「年間売り上げ5億円」、「〇〇売り上げ個数年間1万個」などと目標を達成する過程でそれに付随してくる要素(数値)自体を目標にしてはならないということであります。
付随してくる要素(売り上げや、販売個数など)自体を目標にしてしまうと、その数値を達成することが目的となり、本来追うべき、顧客満足度や、従業員満足度などがないがしろにされるばかりではなく、その数値達成のために、それらの顧客満足度などが犠牲にされることがあるのです。そして、そのような数値を目標とした場合、従業員は疲弊し、自らの仕事の意味を失い、意欲を失ってしまうのです。

いわば、基本理念というのは、目的であります。その企業、組織が存在する目的、意味であるのです。そして、目標というのは、その目的、意味を達成する、または、その目的が及ぶ領域を拡大させるためのものであるのです。そして、その基本理念すなわち目的と、目標は、そこで働く従業員、構成員が鼓舞されるような、意欲を掻き立てられるような、ある意味で精神的な要素がこもったものでなければならないのであります。だからこそ、その組織に活力が生まれ、その目標を達成する過程で、売り上げや、販売個数、顧客数などの数値が上昇してゆくのです。

ここは、間違ってはならない点であると思います。確かに、数値を達成することは非常に大切であり、リーダーの責任、企業の責任で有ります。しかし、それは、より崇高な目的、目標を達成していく過程、または結果に達成されるべきものであるのであり、逆はあり得ないのです。逆をしようとすると、目的は失われ、ただ、無機質な数値を達成することが、組織の至上命題と化してしまい、組織が疲弊し、貧乏性になっていくのであります。

そして、その目的(基本理念)、そして目標というものは、結果がイメージできるものでなければならないと思うのです。その目的、目標が達成された後、その組織と、それを取り巻く社会はどのようなものになっているのかを、ありありとイメージできるからこそ、その地点を皆が目指すことができるのであり、そのイメージに鼓舞されるのであります。
しかし、ただある数値が達成されたときのイメージは想像するのは難しいと思います。例えば、顧客満足度、従業員満足度が達成されたイメージは、なんだか楽しそうなイメージで想像できますが、ただ、売り上げ数値や、顧客数の数値が達成された場合のイメージとは想像しにくく、たとえできたとしても、それほど楽しげなものではないのではないのでしょうか?

Faust