組織が滅びるとき~現実を見、現実からスタートせよ~

組織が滅びるとき、その組織に属する人々、経営層も含めた上層部もそうであるが、ありのままの組織の現実を見ることができなくなる。

見ることができなくなるし、見ようともしなくなる。

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それは、人体で言うと、血液がドロドロになり、体の中を巡る血流が滞り、末端の神経から壊死し、いずれは、死に追いやってしまう病気のようでもある。

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組織において、健康な人間の体において、全身を血液がくまなくスムーズに循環するように、情報、指示、命令、フィードバック、現場からの意見等がスムーズに上層部に伝わり、正常な、適確な判断を出来るようにすることが非常に大事であるし、そのような組織作りをするとともに、上層部の経営陣も、努力せねばならないのです。

上に成ればなる程、末端の現場の情報を努力して、取りに行かなければいけないのです。

それは、現場感覚と言われるものでもありますが、この現場感覚なるものは、往々にして、日々磨き続けていかなければ、直ぐ陳腐なものになってしまうという“生もの”であるのです。

プロイセン時代のドイツでは、世界で初めて、軍に参謀本部というスタッフ部門、戦争作戦立案・分析部門ができ、それによって、ナポレオン時代のフランス軍に勝利しました。
そのドイツ参謀本部では、現場の感覚がわからなくなり、作戦立案が机上の空論にならないようにするために、一定期間ずつ、スタッフ部門(参謀本部)と現場をローテーションさせて人事をしていたそうです。
(参考文献:祥伝社、渡部昇一著、「ドイツ参謀本部~その栄光と終焉~」)

これも、やはり現場感覚を忘れず、現場に即した作戦を立案し、現実的に実績を上げることができるようにするために、考えられたことだと思います。

やはり、ドラマ「踊る大捜査線」にもありますが、
大きい組織になればなる程、
「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きているんだ!」
と言わなければいけなくなる状況に陥ってしまうのです。

また、ただ、現場を見、経験するだけではまだ不十分であります。

それは、現場を見てそれを分析し、問題点や課題、学ぶべき智慧を見つけ出すだけの知性、知識が必要になってくるのです。

そのためには、日頃の学習、勉強が大切であります。
学習し、勉強していないと、経営のどこに問題があり、どのようなことをすれば、解決していけるのか?
または、経営が成功した場合、次も成功するには、どうしたらいいのか?という勝利の方程式、または、失敗の方程式を見抜き、見つけ出すことができないのです。
それは、数学を勉強していないと、規則正しく羅列した数字の中に隠された、一般的な数式、方程式を見いだすことができないように・・・

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そこで必要なことは、知識としてのマネジメントを学ぶということであると思います。
マネジメント、経営手腕とは、経験でもあるし、その経験がないと、どうしてもわからない妙味が必ずあるとは思います。

しかし、ブリタニカ百科事典ができ、今までは、例えば、10年間で弟子として師匠の元で修行し、やっと盗める匠の技を、短時間で学習できるようになり、世界の生産性がアップしたように、知識としてのマネジメントを学ぶことで、優秀な経営者がたくさん輩出され、世界の生産性が上昇し、世界がより豊かになり、貧困が少なくなるということがあるかもしれません。

それは、企業家、経営者は、富を生み出す源泉でもあるからです。
価値を生み出す源泉であるからです。

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結論としては、組織としては、その組織の現実、現場の現実をその経営陣、上司、マネジメント層が把握し、受け入れ、そこから解決策、戦略を立てなければならないのです。
つまり、現実からスタートせねばならないのです。

その前提に、組織の問題点や、解決策を分析するだけの知能を養うための知識を吸収し続けることが大事であるのです。

Faust